いまさらながら…「博士の愛した数式」、読みました

2004年に第1回本屋大賞を受賞したときから”いつか読もう”と思っていた、小川洋子さん著の「博士の愛した数式」、今更ながらようやく読みました。
事故により80分しか記憶が持たない「博士」、派遣家政婦である「私」と、彼女の10歳になる息子「ルート」、のお話。

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

”限られた時間の記憶しかもてない”という設定のその儚さからくるものなのか、何気ない幸せな日常の時間がいかに大切で愛おしいかを思い起こさせてくれます。博士・家政婦とその息子の3者がそれぞれに、愛情をかけるもしくはかけられる、その様があたりまえのことのように描かれ、なんだか満ち足りた気持ちにもなります。そして、本のタイトルにもなっている数式。数学って芸術だっけ?と思わせるような、まるで音楽や絵画に心が触れた時のような、そんな使われ方がされているのが驚きでした。
自分の人生の時間だって限りあるものだということ、そして何気なく暮らしている日常の中に幸せな瞬間がたくさんあるということ、に気づかせてくれる、お薦めの一冊です。