「1Q84」、期待通り!

6月に購入していた1Q84、数日で一気に読み終えていましたが、感想を書かずに余韻に浸っておりました。
結論からいうと、期待通り!。文学作品というと得てして難解すぎて頁がなかなか先に進まなかったりしがちですが、これはエンターテイメント性も併せ持っていて、次の展開がどうにもこうにも気になり、夜更かしして一気に読み終えてしまいました。
浅間山荘事件、ヤマギシ会騒動、オウム真理教事件などを連想させる内容が含まれているからか、フィクションなのに現実の世界と結びついていて、妙に心に迫ります。リトルピープルと反リトルピープル的なものが善と悪・明と暗の対比を表し、ただそれは“勧善懲悪”のストーリーとして割り切る類のものではなくどうしようもない“人間の業”のようなものを感じさせられます。
そしてやっぱり根底に流れるのは、この時代を支配する空虚さ、とでもいいましょうか・・・。主人公の一人である天吾はなんだか「ノルウェイの森」の主人公を思い起こさせ、その設定が育ての父が自分の本当の父であるかどうか疑問に感じているところからも、父親不在=神なき時代=ロストジェネレーション的時代背景を思わせます。
リトルピープルとは何か、空気さなぎとは何なのか、もやもやとした想いを抱えつつも何か今の時代の雰囲気を感じたい人、はぜひ手にとって読んでみることをお薦めします〜。